パニック障害
「パニック障害」という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
突然息が苦しくなったり、めまいがする発作があったり、死んでしまうのではないかと強く不安になる病気です。
ここではパニック障害について解説したいと思います。
パニック障害とは?
パニック障害とは急に不安に駆られ、動悸、発汗、手足が震えるなどの症状が出る、不安発作の一つです。
初回は大きな不安、友人とのけんかなどを契機にしてパニック発作が起こります。
その後、発作の症状が心に刻まれ、またあの症状が起こってしまうのではないかという恐怖感(予期不安)が生じます。
さらにその発作症状が人混みの中で起こったらどうしよう、電車で起こったらどうしようという恐怖(広場恐怖)が生まれます。
それにより生活を大きく制限し、他の精神疾患(うつ病)を併発してしまうことも少なくありません。
どれくらいの人がパニック障害に悩まされていますか?
パニック障害は決して珍しいものではなく、成人の約3%の人が発作を経験し、それに悩まされると言われています。
心臓の鼓動が速くなったり、呼吸が苦しくなる症状のため、様々なところで検査を行い、「問題ない」と言われ、心療内科、精神科にたどり着くのが遅くなるという特徴がある病気でもあります。
パニック障害にはどんな症状がありますか?
下記のような症状が起こり10分くらいでピークに達し、1時間くらいで自然と治まります。
- 息苦しさや息切れ
- 喉が詰まったような窒息感
- 胸の痛みや不快感
- 動悸、心悸亢進、心拍数増加
- 吐き気
- 発汗
- 身震い、振戦
- めまい、ふらつき
- 体が火照ったり、ぞっとした寒気
- 感覚の麻痺、疼き
- 現実感消失、離人感
- どうにかなってしましそうな恐怖
- 死への恐怖
パニック障害の原因
はっきりした原因はいまだ分かっておらず、脳内の神経伝達物質のアンバランスが起きることが示唆されています。
それに加え、生活環境により起こると推測されております。
パニック障害の治療
パニック障害の治療は不安の悪循環を改善していくことを目標にします。
以下に記載する通り「薬物療法」、「精神療法的」アプローチが用いられます。
薬物治療
パニック障害の原因は上述した通りなんらかの脳の機能的な異常があることがわかっております。そのため抗うつ薬の効果が期待できます。
薬を内服することによりパニック発作の悪循環を断ち切ることができます。
役割により薬を使い分けます
- パニック発作を起こしにくくする薬(定期的に内服)
→ うつ薬であるセロトニンなどを調整する薬
- パニック発作が起こった時に対応する薬(屯用で内服)
→ 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)
抗うつ薬、抗不安薬を内服するのが不安な方には漢方薬を選択する場合もあります。
精神療法的アプローチ
予期不安が来たり、来そうな時に落ち着けるようトレーニングをしておくことも重要です。
ゆっくりと呼吸をし、「大丈夫」であることを認識することが発作対応に大変役立ちます。
認知行動療法
予期不安が起こらなくなってきたら、できなかったことに対し段階的にチャレンジしていく治療法です。
大丈夫という状況を心で確認しできることを増やしていきます。
それと並行して内服薬も減量していきます。
パニック障害は早期に治療を行うことが大事です。
発作回数の少ない人は治療の反応が良いことが分かっています。
しかし、ずっと悩まされている方も根気よく治療を行えば必ず克服することが可能です。
日常生活で心がけること
不安や緊張の軽減のために、以下のことを見直すことも役立ちます。
- ストレス
- 規則正しい睡眠、食生活
- 運動習慣
- カフェインの摂取
- 喫煙
- 飲酒
お伝えしたいこと
パニック障害は本当につらい病気です。
その恐怖は命を落とすのではないかと思わるものであるにかかわらず、周囲から理解されず孤独を感じたり、落ち込んでいる方もいらっしゃると思います。
適切な治療を行えば克服することはできます。
「私もこの症状に当てはまる!」と思った方は早めに心療内科、精神科を受診しましょう。