糖尿病の方に眼科受診をお勧めする理由
糖尿病の3大合併症は、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」であることはよく知られていると思います。
この中でも、今日は「目」の障害について。
先日外来で診察をした日のことをお話ししたいと思います。
そもそも糖尿病網膜症とは?
糖尿病のコントロールが長い期間悪く、血糖が高い状態が続くと、網膜の微小血管が少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。
その結果、視力障害、網膜剥離などの合併症が起こります。
外来診察でのできごと
私は外来で糖尿病の患者さんには
糖尿病連携手帳を渡し、
眼科を受診していただくように勧めています。
先日、初めて糖尿病を診断させていただいた患者さんに眼科に行くようにお願いしました。
するとその様子を見ていた同僚から
「おそらく先生がしっかり説明しても眼科にはなかなか受診してくれないし、再度受付から促してもらうほうがいいよ」
とアドバイスを受け、受付の方にもお願いしました。
糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状がない場合もあり、まだ見えるから大丈夫と眼科受診されない方が多くいらっしゃるのです。
また、糖尿病連携手帳では、眼科の受診記録を管理することができます。
その他にも、HbA1Cなどの検査結果などを記録でき、糖尿病の管理に非常に役立ちます。
まだお持ちでない方は、かかりつけのクリニックにご相談してみてください。
実際の眼科受診率
その日の診察後、家に帰りSNSを見ていると、ある有名な糖尿病の先生の衝撃的な投稿を見ました。
「糖尿病の患者さんで眼科を受診している人はわずか47.4%と半分にも届いてない」とのことでした。
往々にして医者は、自身がよく理解しているために、早口で説明し、患者さんに重要なことを伝えることができていないからこういう事態を招いているんだなと改めて感じました。
たとえ今のところ眼に症状がなくても
「いつまで大丈夫だったか」
「自覚に現れない小さな変化が眼底には起こっていないのか」
など、眼科を受診することで多くの情報が得られると考え、私は患者さんに眼科受診を勧めております。
糖尿病網膜症は日本では成人の失明原因の上位に位置する、大変危険な病気です。
年に一度は眼科を受診し、糖尿病連携手帳に眼科受診記録を書いてもらい、しっかりと管理していきましょう。
診察について思うこと
今後はさらに
重要なことを分かりやすく簡潔に
一回の診察で最低一つは重要なことをお伝えできるように
していきたいと改めて感じました。
医者になり21年経ちますが、まだまだ教えてもらうことは多いと謙虚な気持ちになり、さらに学びを深めていかなくてはならないと思った一日でした。
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