卵は1日何個まで食べていいのか?
こんにちは。
院長の青野です。
今日は、「1日の卵の摂取数について」のお話です。
生のままご飯にかけても美味しい!
茹でて食べても美味しい!
目玉焼きやスクランブルエッグなど焼いても美味しい!
どんな調理でも美味しく食べられる卵。
私も大好きです。
でも、
「コレステロールが高くなるから少なめに!」
「卵は1日1個まで!」
と言われたことはありませんか?
一体これは正しいのでしょうか??
今回は僕なりに「卵は1日何個まで食べていいのか論争について」考えてみたいと思います。
なぜ卵は1日1個までといわれるようになったのか?
まず、なぜ卵は1日1個までと言われるようになったのか?
「卵はコレステロールが高いため、1日にたくさん食べると動脈硬化が進む」という考えからきているとされています。
これは1913年ロシアの病理学者が、”卵黄からコレステロールを精製したものをウサギに与えたところ、急速に動脈硬化が進んだ”という報告があったためです。(*1)
卵に含まれるコレステロール
では卵には一体どれだけのコレステロールが含まれているのでしょうか?
エネルギー | 78kcal |
タンパク質 | 6.7g |
脂質 | 5.6g |
炭水化物 | 0.2g |
コレステロール | 200mg |
動脈硬化性疾患予防ガイドラインには、"コレステロールは1日200mg未満が望ましい" と記載されております。
表1の通り、標準的なMサイズの鶏卵1個に含まれるコレステロールは200mgですので、1日1個までが推奨されることになるのです。
食べたコレステロールはすべて吸収されるのか?
卵を1個食べたら、コレステロール200mgがすべてが体に吸収されるのでしょうか?
そうではありません。
人間には摂取したコレステロールの吸収率や体内での合成速度を調整することで血清コレステロールを一定にする調整機能が備わっています。(*3)
そのため、食べたものすべての量が吸収されるわけではありません。
では卵は実際のところどうなの?
卵を多く食べても、1個にとどめても、悪玉コレステロールの値に有意差はなかった(*4)との報告もあります。
これは上記の通り、コレステロールの値を安定させようとする機能が体に備わっていることからも納得できます。
しかし、コレステロールの吸収率には個人差もあり、一概に何個と決められないのが結論のようです。
卵を食べると体にいいことは?
卵を摂取すると、我々アジア人は動脈硬化の病気が減るという結果もあります。
調理法(大量の油を使わない、付け合わせで加工品を大量に食べない)などを配慮すれば健康的でいい食べ物と言えるようです。
私の意見
卵を食べる量は1個でなくてもよさそうですが、
個人差が大きいため常識の範囲で取りましょう
というのが今言えることかなと思います。
また健康にいいというデータもあるため、バランスよくとることにより、より充実した食生活が送れると思います。
自らの食生活や健康診断の結果などを見直し、検討してみるのも一つの方法かと思います。
<参考文献>
「総合診療」第33巻 第3号
*1 Steinberg D, : In celebration of the 100th anniversary of the lipid hypothesis of atherosclerosis. J Lipid Res 54(11) : 2946-2949, 2013.
*2 文部科学省:日本食品標準成分表、2020年版(八訂).2020.
*3 Connor WE, et al : Dietary cholesterol and coronary heart disease. Curr Atheroscler Rep 4(6) : 425-432, 2002.
*4 O SY, et al : Effect of dietary egg on variability of plasma cholesterol levels and lipoprotein cholesterol. Am J Clin Nutr 42(3) : 421-431. 1985.