コレステロールの治療目標値と治療方法
今日は、前回の続きで「コレステロールの治療目標値と治療方法」についてお話ししたいと思います。
なぜコレステロール値を下げなければいけないか?
コレステロール値を下げる最大の目的は、動脈硬化を今以上に進行させないことです。
コレステロール値を下げることにより、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の発症、再発を予防します。
コレステロールの目指す値は?
では、具体的にどれくらいの数値を目指せばよいのでしょうか?
下表はリスク区分別の脂質管理目標値の表です。
同じコレステロール値でも、疾患の有無によりリスク区分が分類されており、目指す数値が変わってきます。
- 二次予防
動脈硬化性の疾患にかかったことのある人の目標数値
- 一次予防
動脈硬化性の疾患(狭心症、心筋梗塞など)がない人のコレステロールの目標値。
年齢、性別、糖尿病、腎臓病、足の動脈硬化の病気の有無によりリスク分類します。
例えば、以下の場合は「高リスク」に該当します。
糖尿病(耐糖能異常は含まない)、慢性腎臓病(CKD)、非心原性脳梗塞、抹消動脈疾患(PAD)のいずれかがある場合 → 高リスク
上記の疾患に該当しない人も、年齢や喫煙の有無、高血圧等の危険因子の数により「高リスク」「中リスク」「低リスク」とリスク分類されています。
(ややこしいので、気になる方は是非ご相談ください。)
治療方針の原則 | 管理区分 | 脂質管理目標値(mg/dL) | |||
LDL-C |
Non-HDL-C |
TG |
HDL-C 善玉 コレステロール |
||
一次予防 まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する |
低リスク | <160 | <190 |
<150 |
≧40 |
中リスク | <140 | <170 | |||
高リスク | <120 (<100)* |
<150 |
|||
二次予防 生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する |
冠動脈疾患の既往 | <100 (<70)* |
<130 (<100)* |
*家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮する。糖尿病でもほかのリスク病態(非心原性脳梗塞、抹消動脈疾患、メタボリックシンドローム、主要危険因子の重複、喫煙)を合併するときはこれに準ずる。
出典:日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版.
コレステロールを下げるには?
薬物治療と生活習慣の改善を併用します。
- 一次予防の方
まず生活習慣を改善し、目標に届かない場合は薬物療法の追加します。
- 二次予防の方
薬物療法と生活習慣の改善を同時に開始します。
今回は簡単にコレステロールの治療目標値、治療方法について簡単に書いてみました。
動脈硬化に関わるコレステロールに関して今後も掘り下げて書いていくつもりです。
楽しみにしていただけると嬉しいです。